最近はIT業界に詳しくない人でも、「3Dプリンター」という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
しかし、実際に何ができるのか、3Dプリンターが使えるとどんな良いことがあるのか、わからないことも多いと思います。
今回は3Dプリンターの概要について、ざっくりと説明していきます。
3Dプリンターとは
「データを元に、樹脂や金属を一層一層少しずつ積層しながら、立体物を印刷するもの」です。
従来のプリンターと呼ばれているものは紙などの平面(2D)にインクを出し、文字など印刷するものですが、3Dプリンターは、さまざまな方式で材料を積層させ、立体物を作り上げていきます。
何ができるの?
・試作
(引用:http://www.mikuro-c.com/plastic/trial.html)
・金型の代用
(引用:https://fabcross.jp/news/2015/01/20150129_unilever.html)
・機構確認
(引用:http://abee.co.jp/3dp/whats3dp.html)
・医療モデル
(引用:http://ijet.dgblog.dreamgate.gr.jp/e59184.html)
・建築模型
(引用:http://www.japanese-makers.com/archives/2968)
・フィギュア、記念品
メリット
開発期間と試作品製造コストの削減
3Dプリンターを使用することでイメージを立体にして試作・検討を繰り返すことができます。
従来はデザインから試作品を作る工程は外注していましたが、3Dプリンターがあることで自社でスピーディーに試作品を作り、デザインの検証が行うことができます。
今までにない形状の造形
積層ピッチなどの設定を行うことで従来の製造方法では困難であった「曲面」や「複雑な物」を造形することができます。
新しいアイディアの創出
実施に立体の物を手にとって、様々な角度から観察したり、組み合わせたりすることでイメージだけでは生まれなかった新しいアイディアが生まれる機会が増えます。
デメリット
層と層の結合部が脆く、強度面で制約がある
一層一層樹脂を積み重ねて造形するため、一層一層の上下の繋がりは弱く、力を加えると壊れてしまうことがあります。(特に、細いところなど)
製造コストの面から量産品には向いていない
3Dプリンターの製造コストは使った材料の分だけかかるため、必然的に小さいものは安く、大きくなるのつれて値段も高くなっていきます。そのため、大量生産することで1個あたりのコストが下がるとは言いにくいです。
実際に造形物ができるまで
1.3Dデータ作成
3Dデータを作成するには以下の方法があります。
・3D CADソフトや3D CGソフトで自分で作る
・実物をスキャンする
・配布サイトからダウンロードする
▼無料配布サイトはこちら
世界最大級の3Dデータ共有サイト「thingiverse」
※他にもたくさんの配布サイトがあります。
また、3Dデータは上記の方法で入手することができますが、データ形式がそれぞれ異なります。
3Dプリンターでは一般的にSTL形式のデータを取り扱っているため、データをSTL形式に変換する必要があります。
▼3D CADの比較記事はこちら
どれを使ったらいいの!?5種類の3D CAD比較
2.3Dプリンターで印刷
それぞれの3Dプリンターの手順にしたがってサポート材や積層ピッチなどの設定を行い、プリントを行います。
(ギターピックなどの小さいものは約1.5時間、大きいものになると丸1日かかるものもあります。)
▼弊社にある2種類の3Dプリンターの特徴や作品例はこちら
「Form2」、「UP BOX」
3.後処理
3Dプリンターの種類や、造形物の用途によりますが、乾燥や冷却、サポート材除去、やすりがけ、洗浄などの工程があります。
造形方式と特徴
熱溶解積層方式(FDM)
(引用:http://home3ddo.blog.jp/3dprinter-type)
溶けた樹脂をノズルから押しだしながら積層する。
高い耐久性や耐熱性を得やすい。
例)試作品や簡易型の造形など
光造形方式(SLA) /(STL)
(引用:http://www.japanese-makers.com/archives/4105)
3Dプリンターの中でもっとも歴史の古い方式。光硬化性樹脂を満たした槽に紫外線レーザーを照射させ、積層する。
高精細かつ表面の滑らかな造形物を作成できる。また、透明度の高いものの造形が可能。
粉末焼結方式(SLS)/(SLM)
(引用:http://home3ddo.blog.jp/3dprinter-type)
粉末状の材料にレーザー光線をあてて焼結させ、各層を硬化させて積層する。
耐久性のある造形物を製作でき、金属素材も使用できる。また、サポート材が不要。
例)最終製品や鋳型の製造など
インクジェット方式(材料噴射方式)
(引用:http://www.japanese-makers.com/archives/4105)
液状化した樹脂をインクジェットプリンタのように吹き付け、紫外線をあてることで硬化させ、積層する。
高精細な造形や、複数材料の混合利用が得意。フルカラーで着色できる。
例)医療用モデル、ゴムのような素材の試作など
インクジェット粉末積層方式
(引用:http://www.japanese-makers.com/archives/4105)
粉末を樹脂で接着して固め、積層する。
造形時にダイレクトに着色を行うことができる。
例)建築模型やフィギュア製作、骨のモデル(医療業界)など
プロジェクション方式
光造形方式の一種で、プロジェクターの光を利用して樹脂を硬化させて積層する。
造形物が逆さまにぶら下がるように造形していく。
きめ細かい造形ができることが特徴。
マテリアルジェッティング
(引用:http://home3ddo.blog.jp/3dprinter-type)
ノズルから液体の紫外線硬化樹脂を噴射し、紫外線で固めて積層する。
高精細でなめらかな表面のモデルを造形しやすい。また、複数材料の混合利用ができる。
例)精度が求められる造形物の出力など
結合材噴射方式(バインダージェッティング)
(引用:http://home3ddo.blog.jp/3dprinter-type)
粉末状の材料に接着剤(バインダー)を噴射して積層する。
造形速度に優れており、フルカラーでの着色が容易。
例)デザインの確認やフィギアの作成など
まとめ
3Dプリンターには様々な種類や造形方式があり、一概に「これが一番いい!」というものはありません。
それぞれの3Dプリンターの特徴を踏まえ、用途に合わせて選択することが重要です。
3Dプリンターは「魔法の箱」と思われがちですが、うまく造形できないことも多々あり、扱うには熟練した技術が必要です。
経験を積み、知識や技術を身につけ、うまく活用していけるといいですね。
弊社では3Dプリンターを使用した造形サービスや、コンサルタントを行なっています。
3Dプリンターに詳しい技術者がいるため、小さなことでもお気軽にご連絡ください。
頭の中にある「イメージ」を実際に手に取ることができる「造形物」として出力するまで、丁寧にサポートいたします。
▼お問い合わせはこちら
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